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2005年 07月 03日
<スプリング8>実験容器が破裂し2人けが 兵庫・三日月町
スプリング8とは、「財団法人高輝度光科学研究センター」が運営する大型放射光施設で、高いエネルギーを持って飛んでいる電子を磁石で曲げて、非常に強い電磁波(光)を出す設備です。出された光を使って、様々な分析を行う、というのがこの設備の目的です。普通の光では見えないような物質の細かい構造など、調べることが出来ます。 今回の事故、東京新聞などでは「スプリング8で爆発」などと派手な見出しを付けていますが、「爆発」したのはスプリング8の放射光で測定されるサンプル(この場合、水)を入れたステンレス容器の放射光をサンプルに照射するための窓(酸化ベリリウム)の部分が破裂して、破片が飛散した、ということのようです。原因は放射光とはおそらく関係がないと思われ、低温で測定していた実験が終了し、室温に戻す」過程で破裂したとのことですから、ガラスのコップに熱湯をいれたら割れた、というようなことだと思われます。ただ、実験していた方が怪我をされたこと、使用していたのが発がん性が指摘されている「ベリリウム」であったこと、「放射光」というような「よくわからないが危険そう」というような条件が重なって、東京新聞のような取り上げ方になったのかと思います。 私はあの東海村の臨界事故の現場から半径10kmの範囲内に住んでいます。その時のことを思い出したのですが、「何が起こったか情報が何もない」ということでした。テレビで小渕首相や野中官房長官が記者会見しているのが唯一の情報源でした。私は学生時代に「放射化学」を授業で受けた程度の知識ですが、その知識に基づいて自己判断するしかありません。家族は私以外、「文系」ですから、報道の情報だけだときわめて不安になります。 初期の情報では「東海村で核燃料の施設が『爆発』」というような情報で、仮に「放射能(放射性の物質)」が施設の外に拡散しているとすれば、出来るだけ防御せねばなりませんから家族に窓を閉め、換気扇など止めるよう家族に指示し家の中にいる限り安心であることを説明しました。次第に状況が明らかになってきて、「臨界が起こったが、施設や設備は破損していないため、外部に放射能は漏れていない、臨界は継続している」ことが明らかになり、以前放射線は出しているものの、距離の二乗に反比例して減衰するので、現場と自宅の距離を考えると影響はない、ということを家族に説明しました。その後、あちこちで放射能の測定が行われたようですが、外部への放射能の拡散はなく、チェルノブイリの事故の影響としてセシウム137が検出されたようで、「本当に危ない事故」の影響がまだ続いていることを実感しました。 これは、「リスクコミュニケーション」という話で、科学や技術が持っている「リスク」に関する「正確な情報」を、市民、行政、技術者・産業界で如何に共有していくか、ということが今後ますます重要になってくるのだろうと思います。環境省で、化学物質に関するリスクコミュニケーションに取り組んでいるようですが、なかなか「化学」を勉強したことがない人に理解してもらうのは大変なようです。 これから、いろいろな分野で、ますます科学技術が高度になって行って、素人に理解できない内容が増えて行くのだろうと思います。科学者は、リスクも含めて、きちんとした情報を公開し、理解できるように説明する責任があると思います。
by f16fightingfalcon
| 2005-07-03 11:27
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