技術系サラリーマンの独り言
by f16fightingfalcon
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2005年 09月 12日
東海村のJCO臨界事故から既に6年が経過しました。我が家はJCOから10kmの範囲内にありますので、当時は「自宅待機」したのを思い出します。今年の8月、岩波書店から「東海村臨界事故への道(七沢潔)」が出版されましたので早速読みました。著者はNHKの記者であり、チェルノブイリの取材の経験もあって、原子力に関する番組のディレクター、記者として取材を続けてきた方です。東海村の事故に関しては、2003年に放送された特集番組の制作も担当されています。この本は、取材が困難なこのテーマに関して、公開された資料に基づき調査、検証された結果が纏められています。この本では一貫して、第一義的に原因となったのはJCOの行為であると言う前提で、なぜ、JCOがそのような行為をせねばならなかったのか、監督官庁や顧客である動燃(現サイクル機構、10月から原子力研究開発機構)の責任、ひいては日本の原子力政策、エネルギー政策に内在する問題まで掘り下げられています。『原子力』という、国が安全基準を厳格に決め、事業や作業を審査した上で許認可するような事業で、なぜこんな事が起こりうるのか、私も不思議でした。単純にJCOが効率化や経費削減のために作業を簡略化した事が原因である事は疑いがありませんが、何重にもあるはずの審査をくぐり抜けてこのような事故が起きてしまったのです。審査官として受査側の組織からの出向者を受け入れていたり、発注者である動燃が発注を確定せず振り回してしまったり、結果的に、あまり利ざやの大きいとは言えない製品を極短期間で納期に間に合わせざるを得ない作業を受注するに至ります。これは事故の10年以上前からの話で、この結果、「ウルトラC」と称する作業の効率化、許認可の裏技等を駆使するに至り、さらには臨界を防止する、という核燃料製造業者が守らねばならない「安全性」がないがしろにされるに至ります。この経過は、今年に起こったJR西日本の脱線事故に近いと思います。効率化による収益向上が第一目的とされ、本来守ってきた安全に関する規則などを「現場の判断」で骨抜きにしてしまうところが見事に一致しています。結果的に、基準を守った人は効率が上がらず、適当に規則を破りながらうまく立ち回った人が成果が上がり、「成果主義」の上では成績が高く出てしまうのです。このような環境が、「エネルギー自由化」の流れの中で醸成され、結果的に大事故に繋がり、2名の尊い命が失われてしまったのです。何でも自由化すれば、コストが下がり、光熱費が安くなる、などと考えるのは安易で、「安全のコスト」をどれだけ、誰が支払うか、考える時期に来ています。今まで随意契約だったのが競争入札になる方がいいものもありますが、原子力燃料などというなかなか採算ベースに乗らない事業に競争を持ち込む事により、結果的に受注業者の経営を圧迫することになってしまいます。誰かが責任をかぶって、沈黙するような物事の進め方こそ変えて行かねばならないと思います。
様々な分野で民営化(あるいは非公務員化)が進められていますが、これにより失われたモラルを、どうやって回復して行くのか、問題が起こってからでは遅いです。「郵政民営化」などよりよほど大切な問題だと思います。
by f16fightingfalcon
| 2005-09-12 00:06
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