Today's "Choral" in iPod:Sir Simon Rattle

　ラトル、好きな指揮者です。シベリウスなど、最高ではないかと思います。バーミンガムで聞いたマーラーの３番など、演奏が終わったあと、呆然として、しばらくは拍手もできず、立ち上がれないぐらいの怪演でした。素晴らしい指揮者です。若手と思っていたラトルも既に50歳を過ぎ、ウィーンやベルリンでキャリアを積んで巨匠の風格すら漂わせています。
　で、ベートーヴェンですが、どうもラトルはまだベートーヴェンとどうやって付き合ったらいいのか、悩んでいるのではないかと思えます。「いろいろとやってみたけど、ちょっとねぇ」などというつぶやきが聞こえてきそうな、そんな演奏です。何か新しい事を試さなければ、などと言う義務感でやっているような、随所にとんがった部分があって、空回りしているような感じです。
　ウィーン・フィルなんですから、放っておいてもそれなりの演奏になるので、自然体で取り組めばと思うのですが。あと10年ぐらいたつと、丁度良いかもしれません。

ベートーヴェン
交響曲第９番ニ短調作品125「合唱」
サイモン・ラトル
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
バーミンガム市交響楽団合唱団
バーバラ・ボニー（ソプラノ）
ビルギット・レンメルト（アルト）
カート・ストレイト（テノール）
トーマス・ハンプソン（バリトン）

2002/4/29-5/17
ウィーン・ムジークフェラインザール（ライヴ）
TOCE-55505(EMI)